国際芸術センター青森 2008秋 アーティストインレジデンス プログラム 
吉賀あさみ/ Asami Yoshiga 
 
  ■レクチャー 「絵具は何から作られているのか?」■  

画面右上から 
 ピグメント、ポスターカラー、
 アクリル、色鉛筆、透明水彩、
 パステル、棒絵具、クレヨン、
 ガッシュ(不透明水彩)、油絵具
 
洋服、プラスチック製品、印刷物.....etc、絵具に限らず、
少し見渡しても身の周りには鮮やかな色の製品で溢れています。
今はほとんどの色を化学合成で作ることが可能です。化学合成で色を作れるようになる以前は
人はどのようにして「色」「色料」を手に入れてきたのでしょうか?
技法や美術史にも触れサンプルや作品を参照しながら、紐解いていきます。
また沢山のサンプルに直接見て、触って、「色」「絵具」について技法や歴史を体験しましょう。
 
 
 
 <第一章>  技法と展色剤の違い
   上の写真はチューブやスティック状で市販されている一般的な絵具です。
   油絵具、水彩絵具、パステルetc..たくさんの絵具の種類があります。
   色名はどれも同じ、イエローオーカー/おうどいろ/黄土
   もとの色料(色の材料)はみんな同じです。
   絵具の違いはそれぞれの技法(画面に色を定着させる方法)が違うのです。
 
   *画面に絵具を定着させる接着剤の役割をするものを「展色剤<てんしょくざい>」といいます。
 
   技法と展色剤
    ○油絵 − オイル       ○クレヨン − 油脂、ろう
    ○卵テンペラ − 卵黄     ○パステル − トランガカントゴム
    ○カゼインテンペラ − カゼイン(牛乳のたんぱく質)
    ○水彩画 − アラビアガム(植物樹脂)
    ○日本画 − 膠 (動物のたんぱく質)
    ○アクリル − アクリルエマルジョン
 
 
 <第二章>  天然の色料
 
    ▽土  非常に堅牢で耐光性があり扱いやすい。また産出量もあるため安価に入手できる。
         *茶色系ではイタリアのシエナ地方産出の土=ローシェンナ、バーントシシェンナ
         同じくイタリアのウンブリア地方産出の土=ローアンバー、バーントアンバーが代表的
         *黄土/ イエローオーカーは世界各地で産出され色味も多彩である。
         *その他、緑土/テールベルト・アースグリーン、朱土、ベンガラ、赤土/アースレッド
          などは「これが土?」と思うほどの鮮やかな色もある。           
            

「黄土」/ イエローオーカー
  字のとおり、黄色い土。
   世界各地で産出される。
   産地による色味の違いがある。
     
       
 

「緑土」/ テールベルト、アースグリーン
  字のとおり、緑色の土。
   イタリア、キプロスで産出。
   産地によって色の違いがある。
 
 
     
 
    ▽鉱物  鉱物を砕いた絵具。結晶の断面が乱反射し深みのある色味を醸し出す。
                       耐光性はあるが酸に弱い。産出量と希少性により大変高価なものが多い。
       

画面左から
  群青(藍銅鉱/アズライト)
  群緑(群青と緑青を混ぜたもの)
  緑青(孔雀石/マラカイト)
  珊瑚末(珊瑚) 
  めのう末(めのう) 
 

緑青(孔雀石/マラカイト)
  絵具にしたものと原石
  
 

ラピスラズリ/ ウルトラマリン
  
  ラピスラズリ原石
  
 
 
 
    ▽染料をもとにした絵具  耐光性がないので年月とともに色あせ、色抜けをする
                    絵具としての耐久性には欠ける。
                    源氏物語絵巻の復元研究で画面より染料成分が検出され
                    制作当時の使用が明らかになった。
    

画面右上より
  藍(植物)
  紫根(植物) 以下4つとも
  臙脂/コチニール 濃口
  臙脂/コチニール 淡口
  臙脂/コチニール 紫口
   *コチニール(カイガラムシ)
    蘇芳(植物)
  浅蘇芳(植物)
  茜(植物)
 
 
 
    ▽辰砂、朱  辰砂鉱/硫化水銀の鉱物から作られる。
             また古くから水銀と硫黄で人工的にも作られる。(洋名バーミリオン)
            

画面右下より
  辰砂(天然)
  赤口本朱(天然)
  黄口本朱(天然)
  古代紫朱
  純黒朱(天然)
  紫黒朱
  古代朱茶口
  古代朱(天然)
  鶏冠朱
  鮮紅朱
 
 
    ▽その他、胡粉、鉛白、墨
 
 
 <第三章>  「青」の歴史
                     
          18世紀初めのプルシアンブルー、その後コバルトブルー、ウルトラマリンと
          人口的に青色を作り出せるようになるまで青い絵具はとりわけ貴重で高価でした。
          
          *青い絵具の希少性とその表現 
              宗教画の中の青−キリスト、マリアのローブ、
              「青」の効果 
          *青色の合成
             1.プルシアンブルーと浮世絵
             2.天然ウルトラマリン/ラピスラズリと人口ウルトラマリン
 
 
 
 

 

   ■10/12 (日)11:00〜17:00  レクチャーとワークショップ  定員15名
    *終了しました
  
      ○レクチャー 「絵具は何から作られているのか?」  

        *絵具は何から?どうやって?作られているのでしょう?
          多彩なサンプルの紹介しながら、絵具についてひも解きます。

  
      ○ワークショップ 「身近なものから絵具をつくってみよう」  
                   *青森県内で採取した土から絵具作り(赤根沢のベンガラ、雲谷峠の黄土)
         *天然染料インド茜から色を抽出、ピンク色の絵具作り

         *国際芸術センター青森の森から木片を集め木炭を作る

 
 
   ■10/19 (日)13:00〜17:00 ワークショップ 「手作りの絵具を使って作品をつくろう」  定員15名
    *終了しました
            *12日のワークショップで作った絵具を使って作品を作ります。
 
     ▽12/12.19の両日の参加が望ましいですが、一日のみでも可
     ▽対象年齢なし、家族、未就学児、シニアの方の参加も大歓迎です

 

     ▽参加申し込み、お問い合わせ
       国際芸術センター青森   Tel  .017-764-5200 Fax.017-764-5201
                                                          e-mail acac-1@acac-aomori.jp
                                                          URL  http://www.acac-aomori.jp/

 


 

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